夏になり、プールや海で水と触れ合う機会が増えています。
毎週末プールはさすがに(大人が)飽きてしまうので・・・子どもと地球を巡る水についての絵本を読みました。
今回の本は、ホースで草花に水をあげている子どもの表紙が涼し気で、手に取りました。
小さな子ども向けの本にありがちな、ジャージャー、ザブザブ、ポトリ、のような水の音が出てくることもない絵本ですが、水の旅を通じて、大人も子どもも水と共に旅をしている気持ちになれる、想像力が膨らむ素敵な本です。
終わりがない水の流れを知ることができる絵本。
読んでいるうちに水と共に旅をしている気持ちになり、最後まで興味深く読むことができました。
私たちは飲料水や食品を通じて日々水を体内に取り入れ、汗や尿などとして排出しています。
それは、人が水を使用しているという捉え方になりますが、水にとっては人間を含む動物の体を通るのは、終わりのない旅の途中に過ぎないということが不思議な感覚でした。
海流について。
船が進むのは、操縦する人間の操作と燃料により進み、魚が泳いでいるのは魚の本能、魚の筋力が推進力になっていると思っていたけれど、船は燃料だけでなく、海流も利用して移動しているし、魚も筋力だけでなく、海の流れに乗って移動します。
燃料を使って船が進むということは、人間の意志による能動的な活動だと思っていたけれど、俯瞰的にみるとそれは人間が海流を利用している=海の水に運ばれているということなのだという視点が私には新鮮でした。
地球の大きさをサッカーボールに例えると、地球上の水はどれくらいになるでしょうか。
答えは、ビー玉ひとつ分なのだそうです。
そのビー玉の97.5%は海水であると考えると、私達が使える淡水は小さなビーズ1つ分くらいでしょう。
更に言うと、この小さなビーズ1つの70%が氷河や北極や南極の氷や雪で、その他多くの水も地面の下にある地下水であり、簡単に使用することはできません。
私達が使えるのはビー玉の0.02%程度の水のみ。
地球をサッカーボールの大きさに例えた話から使える水の量を考えていったら、わずかな量であることが分かりました。
地球の7割は海に覆われているというのに、大きさで比べるとこんなに小さい。
子どもたちも水が少ないことに驚いていました。
宇宙からやってきた水。
地球に水を届けてくれた隕石には感謝しかありません。
水が含まれている隕石が衝突した偶然の星、地球。液体として水が存在できる貴重な星、地球。
絵本を通じて水の流れをたどる旅は、私の外への想像力を広げてくれます。
本編の後の著者による水についての解説はどれも興味深く、オススメです。
トピックは全部で6つ。
水はどこから来たのか
地球をめぐる水
水を動かす重力
水は運び屋さん
水のあるところ、ないところ
水を読む
地球をめぐる水→
クレオパトラの最期の吐息に含まれていた空気を私が吸い込む確率は60%だそうです。
空気も水も再利用されるのだから地球が浄化できる以上には絶対に汚してはいけないと改めて感じます。
水は運び屋さん→
水は運び屋さんで良いものも悪いものも区別なく運んでしまう。
悪いもの、例えば有害な化学物質やプラスチックが挙げられます。
水が運び屋さんであることを子どもに伝え、今まではただ(道徳的に)ゴミを道に捨てちゃダメ、と教えるだけでしたが、この解説を一緒に読むことで、ゴミは雨が降ったり、風が吹いて、川や下水に運ばれてしまい、それが最終的には海に流れ出てしまう可能性があるため、道にゴミを落とさないようにしようね。と理由も伝えられるようになりました。
著者の大西健夫さんのご専門は水文学という分野だそうです。
水文学(すいもんがく、英語: hydrology)とは、地球上の水循環を主な対象とする地球科学の一分野であり、主として、陸地における水をその循環過程から、地域的な水のあり方・分布・移動・水収支等に主眼をおいて研究する科学のこと。
この本を読むと、水がいかに貴重なものかがよく分かります。水を巡る紛争も世界で増加、深刻化していますので、水への基本的な知識は誰しもが身につけておきたい時代です。
水を汚さないよう、より一層気を付けて生活していきたいです。
タイトル:地球を旅する水のはなし
著者:大西 健夫さ、 龍澤 彩さん
イラスト:曽我 市太郎さん
出版社 : 福音館書店
発売日 : 2017/9/6